「0825」に私たちは殺され続ける あるロヒンギャ夫婦の物語
今泉 千尋
日本文学一通のファンレターが、会社の使命を変えた。 2004年1月、マルヤナギ小倉屋は「蒸し大豆」を発売した。市場を席巻していた「水煮」への小さな違和感から生まれた、煮ずに蒸すという発想の転換。自信作だったが、値段は高く、見た目もくすんでいて、店頭ではまったく売れなかった。 やがて、お客様相談室に手紙が積み上がりはじめる。「こんなにおいしい豆は初めて」「子どもが手づかみで食べてくれた」--作り手の思いをそのまま代弁するような便りの山が、社員の背中を押した。試食販売に37回通いつめた社員がいた。メディアが動き、学校給食に広がり、やがて日本食品標準成分表に「蒸し大豆」が載る日が来る。 本書は、1951年に神戸の小さな昆布店として創業したマルヤナギ小倉屋が、蒸し大豆、有機大豆、そして国産もち麦「キラリモチ」へと挑戦を重ねてきた四半世紀の記録である。北海道の大豆農家との出会い、兵庫県加東市との連携協定による国産もち麦の産地づくり、農林水産大臣賞の受賞ーーそのどれもが、「今あるものを、もっとおいしく」という一貫した信念から生まれた。 同時に本書は、一人の経営者の記録でもある。
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