[小説] 波うららかに、めおと日和
百瀬 しのぶ/西香 はち/泉澤 陽子
日本文学退任を直前に控えた帝都大学の仏教学者・佐久間 閑は、最澄と空海との対談に誘われる夢を見る。どうせ、他愛無い夢だと思ったが、夢で交わした約束の日時に京都高尾寺を訪れる。門前には迎えの者が待ち、これは現実であると心を震わせる。 部屋の一室で、最澄、空海との鼎談が始まる。佐久間が最も興味を持った最澄と空海の交友関係を、遣唐使派遣、帰国後の書物の貸し借り、徳一との論争を通じ、これまで語られなかった二人の交友関係を聞き出し、新たな事実も明るみに出る。そして、終盤は、日本仏教の始祖である最澄、空海に対して日本仏教の根本を否定し激論となる。 日本人の大半が、無宗教でありながら、神や仏を祭り祈る。私たちが死を迎えると葬儀が始まる。この世と決別してあの世に送る儀式。果たしてそのような人生最後の重要儀式を、我々は日本仏教の根本も知らずに全てを任せてよいものだろうか?「お釈迦様がこう言われている・・・」と云う経典は、本当に釈迦牟尼が記したものであろうか?等々 佐久間はこの問いに、「日本仏教は釈迦の教えでない」との言質を取ることを最澄・空海に試み、千五百年続いている日本仏教の根本を否定し、再考を迫る。
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