大江健三郎を読む 文学と歴史の複眼的視点から
小森 陽一/成田 龍一
日本文学歴史小説は“史実”か“虚構”か、という対比には意味がない。作家も歴史家も、自分の生きている時代のなかで、ある時代を切り取り、対象として書く。歴史を描くうえで、両者の差はない。史実が書かれているかどうかではなく、記述の“作法”に意味がある。本書では、「国民作家」司馬遼太郎作品のなかでもとくに人気の高い『竜馬がゆく』と『坂の上の雲』を、作品全体を通してたんねんに読み込んでいく。2作品で司馬が書いた、あるいは書かなかった幕末・明治を、小説の対象となった時代・小説が書かれた時代・そしてわれわれが読んでいる今現在=「三つの時間軸」で読む、はじめての試みである。読み手が“いま”を背景に、作品をどう読むかも問われるのだ。【著者】成田龍一1951年大阪府生まれ。日本女子大学で30年、教鞭をとる。歴史学者。近現代日本史。早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。文学博士。著書に『近現代日本史との対話【幕末・維新ー戦前編】』『同【戦中・戦後ー現在編】』(集英社新書)、『近現代日本史と歴史学』(中公新書)、『大正デモクラシー』(岩波新書)他多数。
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